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中小企業倒産防止共済掛金の前納について

2025.08.04

 好業績の会社が事業年度末に節税のため1年分の保険料や家賃を1年分前納して損金算入するケースがあるかと思います。その根拠となるのは、法人税基本通達2-2-14「短期の前払費用」です。これについては「継続適用」が要件となっており、継続して適用しない場合には損金算入が認められないこととなります。

2-2-14 前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち当該事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下2-2-14において同じ。)の額は、当該事業年度の損金の額に算入されないのであるが、法人が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。

(注) 例えば借入金を預金、有価証券等に運用する場合のその借入金に係る支払利子のように、収益の計上と対応させる必要があるものについては、後段の取扱いの適用はないものとする。

参考1:国税庁タックスアンサー「短期前払費用として損金算入ができる場合

参考2:国税庁質疑応答事例「短期前払費用の取扱いについて

 

 ここで注意したいのは、中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の掛金を1年分前納して損金算入する場合、その根拠となる規定は、上記通達とは異なるということです。

 契約から12ヶ月以上経過してから解約すると解約手当金(40ヶ月以上経過で掛金全額)が支払われるにもかかわらず、支払った掛金全額の損金算入が認められるのは、租税特別措置法66条の11「特定の基金に対する負担金等の損金算入の特例」の規定があるからです。

法人が、各事業年度において、長期間にわたつて使用され、又は運用される基金又は信託財産に係る負担金又は掛金で次に掲げるものを支出した場合には、その支出した金額は、当該事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
(中略)
二 独立行政法人中小企業基盤整備機構が行う中小企業倒産防止共済法の規定による中小企業倒産防止共済事業に係る基金に充てるための同法第二条第二項に規定する共済契約に係る掛金
(中略)
2 前項(第二号に係る部分に限る。)の規定は、法人の締結していた同号に規定する共済契約につき解除があつた後同号に規定する共済契約を締結した当該法人がその解除の日から同日以後二年を経過する日までの間に当該共済契約について支出する同号に掲げる掛金については、適用しない。
3 第一項の規定は、確定申告書等に同項に規定する金額の損金算入に関する明細書の添付がない場合には、適用しない。ただし、当該添付がない確定申告書等の提出があつた場合においても、その添付がなかつたことにつき税務署長がやむを得ない事情があると認める場合において、当該明細書の提出があつたときは、この限りでない。

 上記の通り、中小企業倒産防止共済の掛金を損金算入するには、法人税の確定申告書に明細書(法人税別表10(7))を添付しなければなりません。なお、税制改正により、令和6年10月1日以後に解約して再加入した場合には、解約日以後2年間は再加入後の掛金の損金算入が認められなくなっております。

 

 1年分の前納掛金の損金算入が認められる根拠は、租税特別措置法通達66の11-3です。

66の11-3 中小企業倒産防止共済法の規定による共済契約を締結した法人が独立行政法人中小企業基盤整備機構に前納した共済契約に係る掛け金は、前納の期間が1年以内であるものを除き、措置法第66条の11第1項第2号に掲げる掛金に該当しない。

 回りくどく書いてありますが、前納期間が1年以内である場合には、損金算入が認められるということです。

 このように中小企業倒産防止共済掛金を損金算入する場合の根拠は、短期前払費用とは異なりますのでご注意ください。