最近は「インボイス制度」という言葉をTVCMなどでも目にするようになりました。これは消費税に関する制度で、一般消費者はあまり気にする必要はないのですが、事業を行っている場合には法人と個人とを問わず、ほとんどの事業者に大きな影響があると考えられる制度です。
インボイス制度というのは通称で、正確には「適格請求書保存方式」といい、簡単に説明してしまうと、売手が買手に対して適格請求書等(通称:インボイス=請求書や領収書、納品書等で一定の事項が記載されたもの)により正確な消費税の「適用税率」および「消費税額」を伝えることを求める制度です。売手側事業者は、買手側事業者から求められたときには、インボイスを発行しなければならず、買手側事業者は、原則として売手側事業者から発行を受けたインボイスを保存しなければなりません。これにより、事業者には以下のような状況が生じることになります。
①自社が売手側事業者の場合、自社がインボイスを発行しないと、買手側事業者は消費税の納付税額計算において大きな不利益を被ることになるため、インボイスを発行できない売手事業者は取引から排除されてしまう、あるいは、消費税相当額の値下げを迫られる可能性があります。
②自社が買手側事業者の場合、売手側事業者がインボイスを発行してくれないと、自社が消費税の納付税額計算において大きな不利益を被ることになるため、インボイスを発行できない売手事業者との取引を控えるか、あるいは、消費税相当額の値下げをしてもらうなどの対応を検討する必要が生じます。
「インボイス制度」の導入まで残り1年を切りました。インボイスを発行するには、税務署に適格請求書発行事業者登録申請を行って「適格請求書発行事業者」にならなければなりません。また、自社が発行する請求書等の様式変更を行ったり、取引先のインボイス制度への対応状況を確認しなければならないなど、準備に時間を要します。
「自分は消費税の免税事業者だから関係ない」と思っている事業者もいらっしゃるかもしれませんが、かならずしもそうとは言い切れません。下記を参考に早めに対応しておくことをおすすめします。
国税庁HP:インボイス制度の概要