同族会社の株主が会社に株式を買い取ってもらう場合の課税関係

 鎌ヶ谷市、船橋市の友田税理士事務所です。

 相続税対策や資金需要などの理由から、非上場の同族会社(A社)の株主が保有している株式をA社に自己株式として買い取ってもらう場合、買取価額によっては、その株主自身の譲渡所得以外にも課税関係が生じることがありますので注意しましょう。

1.株主本人に対する課税
2.株式発行会社に対する課税
3.他の株主に対する課税

1.株主本人に対する課税

1-1.株式譲渡所得課税

 株式の譲渡対価のうち、(2)のみなし配当とされる部分を除いた部分の金額が株式譲渡の収入金額とされ、譲渡所得課税(分離課税)の対象となります。

 ただし、譲渡価額が譲渡した株式の時価の2分の1未満である場合には、時価で譲渡したものとみなして収入金額を算定します(所得税法59①二)。具体的には、譲渡した株式の時価相当額から実際の譲渡価額に基づいて計算したみなし配当を控除した残額を収入金額として譲渡所得を算定することになります。

1-2.みなし配当所得課税

 株式の譲渡価額のうち、譲渡した株式に対応する取得資本金額を控除した残額は利益の配当とみなされ、配当所得として所得税の課税対象となります(所得税法25①四)。

2.株式発行会社に対する課税

 法人が自己株式を取得した場合には、自己株式として資産に計上するのではなく、取得対価のうち取得した株式に対応する取得直前の資本金等の額に達するまでの金額を資本金等の額から減算することとされています(法人税法施行令8①十七)。

 また、取得対価が取得資本金額を超える部分の金額は配当とみなされ(法人税法24①四)、利益積立金額から減算することとされています(法人税法施行令9①十二)。

 したがって、A社においては自己株式の買取りは資本等取引に該当することになり、自己株式を時価より高額あるいは低額で譲り受けた場合でも、原則として時価との差額に対する認定課税は行われません(法人税法22②⑤)。ただし、買取価額が著しく高額だったり、低額だったりすると問題になる場合がありますので、注意が必要です。

3.他の株主に対する課税

 株式の譲渡が時価よりも低い価額で行われた場合(低額譲渡)であっても、2.で見たようにA社に対して受贈益課税は行われませんが、A社に他の株主がいる場合には、他の株主が保有する株式の1株当たりの価額が高くなります。低額譲渡によって株式の相続税評価額が高くなる場合には、株式の譲渡者から他の株主に対して経済的利益の贈与があったものとして、贈与税の課税対象とされる場合があります(相続税法基本通達9-2(4))。いわゆる「はねかえり贈与」と呼ばれるケースです。

 この「はねかえり贈与」は、上記のような自己株式の買取りの場合だけでなく、同族会社に対して、①財産の無償提供があった場合、②時価より低い価額での現物出資があった場合、③債務免除等があった場合にも発生します。予期せぬ贈与税の課税を受けないよう気をつけましょう。

 

※上記内容は、執筆時の法令等に基づいています。

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