個人の税務(所得税他)

個人に対して課税される所得税、個人住民税、個人事業税等について、おさえておきたいポイントを記載しています。

ジュニアNISA制度の概要と3つの注意点

 平成28年1月1日から口座開設可能となり、4月1日から投資可能となったジュニアNISA制度。上場株式等の譲渡益や配当等が非課税になるということで、成人向けのNISA制度はすっかりおなじみになった感がありますが、ジュニアNISAとはどのような制度なのか、成人NISAと比較しながら確認してみたいと思います。

1.ジュニアNISA制度の概要
2.ジュニアNISA利用に際しての注意点
3.まとめ

1.ジュニアNISA制度の概要

1-1.制度の概要

 ジュニアNISAとは、未成年者少額投資非課税制度の略称であり、すでに制度として利用されているNISA(少額投資非課税制度)の未成年者版です。上場株式などに対する年間80万円までの投資額についての譲渡益、配当等に対する所得税および住民税(計20.315%)が非課税とされる制度です。制度の概要は下表のようになっており、成人向けのNISAとは異なる点があります。

  ジュニアNISA 成人NISA
対象者 国内に居住している未成年者 国内に居住している20歳以上
口座開設金融機関 証券会社、銀行等
※1人1口座のみで、一度開設したら金融機関の変更は不可。
証券会社、銀行等
※1人1口座のみだが、年ごとに金融機関を変更することは可能。
投資対象 上場株式、ETF、上場REIT、公募株式投資信託など 同左
非課税投資金額 80万円/年 120万円/年
非課税期間 投資年から5年間 同左
5年の非課税期間経過後の取扱い 時価で課税未成年者口座に預け入れるか、翌年の非課税枠を利用して引き続き非課税で保有する。
投資可能期間経過後の場合には、継続管理勘定(ロールオーバー勘定)にて、20歳になるまで非課税で保有し続けることができる。
時価で課税口座に預け入れるか、翌年の非課税枠を利用して引き続き非課税で保有する。
運用管理者 親権者 口座開設者本人
投資可能期間 平成35年12月まで 同左
払出し制限 3月31日時点で18歳である年の前年の12月末まで払出しに制限あり 制限なし

(注)網掛け部分が成人NISAとの相違点

1-2.ジュニアNISAの利用イメージ


出典:日本証券業協会 ジュニアNISAに関するQ&A

1-3.口座開設

  ジュニアNISA口座を開設するには、未成年者本人の証券口座を開設しなければならず、親権者等の同意が必要です。証券口座を開設したうえで、ジュニアNISA口座の開設を申し込むことになりますが、ジュニアNISA口座の開設にはマイナンバーが必要になります。手続き関する詳細は、口座を開設する金融機関に問い合わせてみてください。

 ジュニアNISA口座は、成人NISAと異なり、一度開設すると金融機関を変更することができません。キャンペーンなどにつられず、利便性や投資の相談相手として適しているかなども考慮して、どこの金融機関で口座を開設するかを決めましょう。

2.ジュニアNISA利用に際しての注意点

2-1.贈与税との関係

 国内居住の未成年者であれば1人1口座を開設できるとはいえ、投資する資金がなければ意味はありません。通常は両親や祖父母が資金を拠出することになると思います。

 ここで気をつけなければならないのは、拠出した資金は未成年者に対する贈与になるという点です。少額投資「非課税」制度ではありますが、非課税になるのは投資した資金の運用益であって、拠出した(贈与した)資金が非課税になるわけではありません。とはいえ、ジュニアNISAの年間投資上限額は80万円であり、その範囲内で贈与をする限りは贈与税の基礎控除(110万円)内に収まっていますので、結果として贈与税が課税されることはありません。110万円の贈与税の基礎控除とは別に80万円の非課税枠があると勘違いして、思わぬ贈与税が発生しないよう注意してください。

 資金の贈与については、贈与の事実が客観的にわかるよう、資金移動の履歴が通帳に残るように贈与者の口座から未成年者の口座に振込みで行い、贈与契約書を作成しておきましょう。ただし、未成年者は単独で法律行為を行うことはできず、法定代理人(親権者等)の同意が必要となるので(民法5①)、贈与契約書を作成する際は、法定代理人の署名・押印が必要となります。

2-2.払出制限

  ジュニアNISA口座に預け入れた資金は、原則として3月31日時点で18歳となる年の前年末までは払い出しができません。つまり、通常は高校を卒業する 年の前年末まで、ジュニアNISA口座の資金を利用することができません。災害等のやむを得ない理由がある場合を除き、払出制限期間中に払い出しを行う場合には、過去に非課税とされた売却益や配当に対しても課税されてしまうので注意が必要です。

  ただ、高校卒業の直前には払出制限がなくなるわけですから、大学や短大、専門学校の入学費用等に利用することが可能です。また、投資可能期間(~平成35 年12月31日)経過後に非課税期間が終了した投資額は、20歳になるまで継続管理勘定(ロールオーバー専用勘定)にて非課税で保有し続けることも可能で あるため、長期的な視点で活用する必要があります。

2-3.投資資金の運用について

 NISA制度の対象とされているのは、上場株式や株式投資信託など比較的リスクの高いものが多くなっています。運用益が非課税になる制度ですから、せっかく利用しても運用損を出してしまったのでは意味がありません。ジュニアNISA制度は、相続税対策を兼ねた生前贈与を利用するケースが多いと思われますが、運用に失敗して資産を目減りさせてしまったのでは元も子もありません。

 他方、政府は年2%のインフレ目標を掲げて躍起になっています。運用リスクが高いからといって資金を手元にプールしていたとして、もし仮にこのインフレ誘導がうまくいったら、これもまた資産価値が目減りする結果となってしまいます。長期的な視点に立ち、リスク回避しながら資産を守る運用が必要になりそうです。

3.まとめ

 ジュニアNISA制度は、概要としては運用益が非課税になるという点で成人NISAと同様ですが、対象が未成年ということで特有の相違点があります。投資資金の贈与、払出制限などに注意しながら、将来的な資金の利用目的を考えつつ、経済動向にも気を配って利用する必要がありそうです。

 

※上記内容は、執筆時の法令等に基づいています。

適正な申告・納付をしなかった場合のペナルティ|附帯税

 鎌ヶ谷市・船橋市の友田税理士事務所です。

 売上げ除外や経費の水増し、財産の隠匿などにより意図的に税額を少なく申告した場合はもちろんですが、申告義務があるのに申告しなかった場合、誤って税額を少なく申告してしまった場合、期限内に申告はしたが法定納期限までに納付しなかったような場合には、ペナルティが課されます。

1.加算税

1-1.過少申告加算税

(1)原則

 期限内申告の税額が過少だったことにより、修正申告をした場合、または、更正を受けた場合には、当初過少だった税額の10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分については15%)の過少申告加算税が課されます。

(2)不適用・軽減

 自主的に修正申告した場合、または、正当な理由がある場合には過少申告加算税は課されないこととされています。ただし、平成28年度税制改正により、平成29年1月1日以後に申告期限が到来する国税について、税務調査の通知後に自主的に修正申告した場合には5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い金額を超える部分については10%)の過少申告加算税が課されることとされました。

1-2.無申告加算税

(1)原則

 申告期限内に申告を行わず、期限後申告をした場合、または、決定を受けた場合には、15%(50万円を超える部分については20%)の無申告加算税が課されます。

(2)不適用・軽減

 税務調査を受ける前に自主的に期限後申告をした場合には5%に軽減されることとされています。ただし、平成28年税制改正により、平成29年1月1日以後に申告期限が到来する国税について、税務調査の通知後に期限後申告した場合には10%(50万円を超える部分については15%)の過少申告加算税が課されることとされました。

 申告期限から1ヶ月以内に期限後申告した場合で法定納期限までに納付が完了しており、かつ、過去5年以内に無申告加算税・重加算税を課されたことがない場合、または、正当な理由がある場合には、無申告加算税は課されません。

 

1-3.不納付加算税

(1)原則

 源泉徴収税額を法定納期限までに納付しなかった場合には、10%の不納付加算税が課されます。

(2)不適用・軽減

 税務署から納付の告知がある前に自主的に納付した場合には5%に軽減されます。

 法定納期限から1ヶ月以内に納付し、1年以内に納付が遅延したことがない場合には、不納付加算税は課されません。

1-4.重加算税

 上記の過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税が課されるような状況において、それが隠ぺい・仮装に基づく場合には、過少申告加算税・不納付加算税に代えて35%、無申告加算税に代えて40%の重加算税が課されます。

2.延滞税

 申告した税額を法定納期限までに納付しなかった場合や期限後申告、修正申告、更正又は決定により納付しなければならない税額がある場合は、これらの税額とあわせて法定納期限の翌日から納付した日までの日数に応じた延滞税を納付しなければなりません。

 法定納期限とは、原則として、個人であれば所得税・贈与税が翌年3月15日、消費税が翌年3月31日、相続税が相続開始の翌日から10ヶ月、法人であれば法人税・消費税とも事業年度終了日の翌日から2ヶ月です。
 納期限とは、期限内申告の場合には法定納期限、期限後申告・修正申告の場合には申告書の提出日、更正・決定の場合には更正・決定通知書が発せられた日から1月後をいいます。

(1)法定納期限の翌日~納期限の翌日から2ヶ月の期間

 平成26年1月1日以後、年7.3%と特例基準割合+1%のいずれか低い割合とされており、具体的には次のとおりです。

 平成29年1月1日~平成29年12月31日 … 年2.7%
 平成27年1月1日~平成28年12月31日 … 年2.8%
 平成26年1月1日~平成26年12月31日 … 年2.9%

(2)納期限の翌日から2ヶ月経過の翌日以後の期間

 平成26年1月1日以後、年14.6%と特例基準割合+7.3%のいずれか低い割合とされており、具体的には次のとおりです。

 平成29年1月1日~平成29年12月31日 … 年9.0%
 平成27年1月1日~平成28年12月31日 … 年9.1%
 平成26年1月1日~平成26年12月31日 … 年9.2%

4.まとめ

 適正な申告・納税を行わなかった場合には、上記のようなペナルティ(総称して附帯税と呼ばれます。)が課されます。特に重加算税は、35%~40%とかなり厳しいペナルティとなっています。さらに平成28年度税制改正により、過去5年以内に無申告加算税、重加算税が課されたことがある場合で一定の場合には、無申告加算税、重加算税にさらに10%が加重される措置が設けられています。期限内に適正な申告を行うよう心がけましょう。

 なお、申告期限内に2通以上の申告書が提出された場合には、一番後に提出されたものが、申告書として受理されます。したがって、申告書を提出した後に申告内容に間違いがあることに気づいた場合、申告期限前であれば、修正申告や更正の請求によることなく、正しい申告書を提出し直すことができます。

 

※上記内容は、執筆時の法令等に基づいています。

相続人に未成年者(20歳未満の者)がいる場合の注意点

 鎌ヶ谷市・船橋市の友田税理士事務所です。

 被相続人の死亡時に相続人の中に未成年者がいる場合には、以下のような点に注意する必要があります。

1.相続人に未成年者がいる場合の遺産分割協議
2.相続税の未成年者控除

1.相続人に未成年者がいる場合の遺産分割協議

1-1.法定代理人

 相続開始時に相続人が2名以上おり、遺言書がない場合には、遺産分割協議を行うことになります。その際、相続人の中に未成年者がいるケースも考えられます。しかし、未成年者は単独で法律行為を行うことができないことから(民法5①)、遺産分割協議に参加できません。そのため、その未成年者に代わり法定代理人である親権者が遺産分割協議に参加することになります。

1-2.特別代理人の選任

 未成年者が祖父母の養子となっているような場合には、その未成年者の親権者も同時に相続人に該当するケースがほとんどだと思います。その場合、親権者が未成年者の法定代理人として遺産分割協議に参加してしまうと、親権者は未成年者の利益を無視して、自分の利益だけのために遺産分割協議を成立させることができることになってしまいます(利益相反関係)。
 

 このように未成年者と親権者が利益相反関係になる場合には、家庭裁判所で特別代理人の選任の手続きをしなければなりません(民法826①)。また、相続人に複数の未成年者がいる場合に親権者が同一であるようなときも、いずれかの相続人にのみ有利な遺産分割協議を成立させてしまうことができるため、同様に特別代理人の選任手続きが必要です(同条②)。家庭裁判所に選任された特別代理人は、未成年者に代わって遺産分割協議に参加し、遺産分割協議書の押印をすることになります。

1-3.特別代理人選任手続き

 特別代理人の選任の申立ては、未成年者の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。具体的な手続きについてはこちら(裁判所HP「特別代理人選任」)を参照してください。

 

2.相続税の未成年者控除

2-1.控除対象者

 未成年(20歳未満)である法定相続人が相続または遺贈により財産を取得した場合には、未成年者控除が受けられます(相続税法19の3①)。ただし、未成年者が相続開始時点で日本国内に住所を有していない場合で一定の場合には、控除が受けられません。

2-2.控除額

 その未成年者の相続税額から次の金額を控除します。

 10万円×相続開始時から20歳になるまでの年数(端数切上)
 
 例えば相続開始時の年齢が15歳9ヶ月であれば、20歳になるまでの期間は4年3ヶ月なので、1年未満の端数を切り上げて5年となり、控除額は10万円×5年=50万円となります。
 
 控除額を未成年者の相続税額から引ききれない場合には、その未成年者の扶養義務者の相続税額から控除します(相続税法19の3②)。
 
 また、過去に相続税の未成年者控除を受けたことがある場合には一定の制限があります。
 
 
※上記内容は、執筆時の法令等に基づいています。

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 ところが、①10年以上の住宅ローンが残っている「居住用財産」を売却して売却損が出た場合、あるいは、②「居住用財産」を買い換えて新たに10年以上の住宅ローンを組んだ場合に限っては、他の所得と損益通算できる特例があります。 続きを読む